郡司正勝『おどりの美学』新ばし金田中

 「能の静の美学、無表情の美学は、それ自体は一種の虚無を表しているようにみえるが、それはけっして無気力を意味するものではなく、ひとつの迫力を秘めた禅の明るさが支えとなっている。能面が死のような静の表現の中に、かすかな、しかも決定的瞬間の動きを秘めていることは、能の幽玄の美学をそのまま象徴しているといえよう。」...