美しい姿勢を身につけることこそ、最大の目的と考えております。美しい姿勢が、美しい所作、そして、心に繋がります。
ゆっくりとした動きの地唄舞は、着物姿の女性を最も美しく魅せます。
演目によっては、実際の三味線に合わせて、舞のお稽古をさせていただきます。
三味線の音を感じとり、その音に合わせた舞の動作という流れです。
「舞、振、踊」(戸部銀作著)の中の一節。『地唄舞は、観客を相手に鑑賞させるものでなく、演者自身が同時に観客である。自分自身の心で演じ、自分自身の心でみる、それが地唄舞といえるだろう。だから、大劇場で大勢の観客を相手に演じられる地唄舞は邪道である。鏡は自己の心だから、常に自己との闘いに打ち勝たねばならない。そうすることによって、舞の深さ、ひいては、日本の古典芸術の芸道の根本義を知ることが出来る。』
地唄舞。よくわからないまま、長年費やしてまいりました。最近になって、ようやく少しわかりはじめたような「気」になっています。分かっていなかったことが、分かってきました。曖昧にしていたことを、分かろうとするようになりました。
地唄舞は、堅苦しい。敷居が高いといわれます。その通りです。堅苦しい。敷居が高い。
しかも、見ていると、眠くなる。
目まぐるしく世の中が動いているのに、動作少なく。とても、ゆっくり。
コロナ。経済活動がストップして、空気がきれいになりました、見えていた景色が、大きく変わりました。
このゆったりとした地唄舞に興味をもつことございましたら、堅苦しいとか、敷居が高いなんてことは、そんなことは、二の次として、トライしてみてはどうでしょうか。
合わないと思えば、やめればよろしいでしょう。やりたくないこと、楽しくないことは、やらないほうが良いと、私は思います。ただ、何事も、やってみないと分かりません。
地唄舞。大勢の観客を相手に演じるものではございません。競うものでもございません。ご自分のペースで、ご自分のできる範囲で、ご自分のために、という感じでしょうか。
少しの緊張感の中に、少し楽しみを感じることが出来れば、きっと、通い合うものがあるのでは、と思います。